交通事故で通院する病院は途中から変更できるのか
1 転院はできるが注意は必要
そもそも、どこでどのような治療を受けるかについては、被害者が自由に選択することができます。
そのため、最初に通院した病院から転院することも原則的には自由であるといえます。
しかしながら、相手方保険会社から一括対応(治療費の立替え)を受けている場合には注意が必要です。
というのも、相手方保険会社が行っている一括対応というのは法律で強制されているものではなく、相手方保険会社がそもそも一括対応を行うのか、行うとしてもどの医療機関・期間まで行うのかといったことについて自由に決定することができるものとなっております。
そのため、転院する際には、事前に相手方保険会社に対して相談を行い、許可を受けてから行うのが無難です。
2 相手方保険会社から転院を拒否されるケース
よくある転院を拒否されるケースとしては、転院先の病院が今通院している病院よりも遠く、交通費が多くかかってしまうようなケースです。
逆にいえば、今通院している病院よりも近い病院で治療を受けたいといった理由であれば、相手方保険会社から認められやすくなります。
他には、事故から相当の期間が経過した状態で転院を行うようなケースです。
このようなケースだと今更病院を変える必要があるのか、といった点につき、相手方保険会社から指摘を受けることが多くあります。
ただ、ある程度治療を行ったものの改善の傾向が見られず、より専門的な医療機関で治療を受けた方が良いと医師が判断したような場合には、転院が認められやすくなります。
3 転院を行わない方が良いケース
仮に相手方保険会社が許可していても転院を行わない方が良いケースもあります。
例えば、高頻度での転院や治療終了間際の転院です。
転院が高頻度だと、病院ごとの医療記録に差が発生する可能性が高まり、医療記録に差が生じていることで症状に一貫性がない等と不利な認定を受ける危険性があります。
また、治療終了間際に転院した場合には、後遺障害診断書を作成してもらおうと思っても、治療期間が短いという理由で作成を拒否されてしまう可能性もあります。
4 転院するか迷ったら弁護士に相談を!
以上のように、転院することでかえって不利な状況に陥ってしまう危険性が十分にあります。
そのため、事前に弁護士に相談し、転院をすべきか否か、転院をするならどうすればよいのかといった点についてアドバイスを受けることをお勧めいたします。